シクロデキストリン修飾DNAと塩基認識蛍光性小分子を用いたSNP検出



 β-シクロデキストリン(β-CyD)修飾修飾DNAと塩基識別能を有する蛍光性小分子、2,6-DNS(図中ピンク色の小分子、東北大 寺前研が開発)とを組み合わせて高選択的塩基識別を行った。2,6-DNSはグアニン(G)と塩基対を形成するナフチリジンと環境応答性の蛍光色素であるダンシルを連結した分子である。ターゲットに対して一塩基ギャップを挟んでタンデムに結合する2種のプローブDNA(それぞれ815 mer)を調製する。このギャップ部位にはホットスポットの塩基が提示され、いずれか一方のプローブのギャップを臨む末端にβ-CyDを修飾した。2,6-DNSは提示された塩基を識別してギャップにナフチリジン部位を挿入する。さらにそのダンシル部位はすぐ近くに存在するβ-CyDに包接されて疎水環境に入り、発光することを期待している(図)。すなわち本法は、従来型のプローブのように二本鎖のミスマッチに基づく熱安定性の僅かな差に依存するのではなく、特定の塩基のみを提示する枠組みの中で小分子、2,6-DNSのデジタル的な認識を利用しようというものである。

 3'修飾βCyDDNAコンジュゲートを用いた系では期待したとおり提示塩基がGの場合のみダンシル基の蛍光が僅かなブルーシフトを伴いながら増大した。一方、5'修飾βCyDDNAコンジュゲートを用いた場合には同様の特異性は観測されなかった。2,6-DNSGと結合した際には、ダンシル部位をDNAのメジャーグルーブに突き出す。分子モデリングの結果、3'末端はギャップのメジャーグルーブに近く、逆に5'末端はギャップのマイナーグルーブに近い。そのため、2,6-DNSのナフチリジン部位がギャップに提示されたGに結合した状態では、ダンシル部位は3'修飾β-CyDとうまく結合することができるが、5'修飾に修飾したβ-CyDまでの距離は遠すぎてうまく結合できなかったものと考えられる。この機構に基づけば、DNAコンジュゲートを用いて異なるDNA反応場を整えてやることで小分子の塩基特異性をコントロールできる可能性がある。